会計制度の充実

エッセンス
月次決算制度
  タイムリーな意思決定のために
原価計算制度
  原価管理の出発点
財務会計の充実
  適切な業績評価のために
経営戦略のための会計へ
  
決算をするだけが会計の目的ではない


1. 月次決算制度
1.1. 翌月10日ころまでに作成するのが望ましい
自社の損益情報をタイムリーに把握するためには月次決算が欠かせません。 一般的には、翌月10日前後を目標に作成するのが望ましいでしょう。
1.2. 年度の決算に準じ、一部を簡略化した方法で行う
経営に有用なデータとしての月次決算は、一般的には、年度の決算に準じた処理を行うのが望ましいと思います。 それぞれの会社の実情によりますが、少なくとも主要な項目については収益や経費の未収・未払の計上、引当金や減価償却費の月次配分、在庫の計上、原価計算などを行い、収益費用の適切な対応が図ることが有用な情報としての必要条件になるでしょう。
1.3. 部門別に行えることが望ましい
部が分かれている、支店があるといった会社では、損益管理の観点から、あるいは予算管理の観点から、月次決算も部門別に行うようにすると業績評価に有用です。
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2. 原価計算制度
メーカー、建設業、システム会社などでは原価管理が重要になります。原価管理を行うためには、会計的に十分な精度をもった原価計算を行うようにする必要があります。
2.1. 原価計算制度の確立
製品等(建設業では建物)がいったいいくらで作られているのか?これ(実際原価)を正確に把握するのが原価計算の目的の一つです。生産(あるいは建築)現場で材料や機械がどのように使われ、誰がどのように作業し、加工がどのように行われていくか、といった生産実態を詳細に分析し、それを踏まえて原価に含める費目を決定し、間接費の配賦方法を決め、さらに製品別計算の方法を決めていきます。
2.2. 原価計算の応用
十分な精度で実際の原価が計算できるようになれば、いろいろと応用することができます。 標準原価を採用して実際原価との差異を分析し、それをフィードバックしていくことによりコスト低減を計る。 変動費と固定費に分類してそれを応用することにより、受注の可否判断や外注か内製かの判断を行う等々です。
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3. 財務会計の充実
3.1. 会計と税務の差異
法人税法は、企業会計上合理的な考え方も採り入れています。項目によっては法人税法の規定を企業会計上も妥当なものとして認めています。しかし、法人税法は主として国家の歳入を確保するという観点から規定されていることもあり、企業会計の考え方と税法の規定が食い違っている面も多々あります。従って、損金算入限度額や「できる」規定に従って作成された決算は、会計的な視点からは合理的とは言えない可能性もあります。 最近では、法人税法で引当金の一部が廃止になったり損金算入限度額が引き下げられたり、あるいは、「会計ビッグバン」と言われているように新しい会計基準が定められたり、と法人税法の規定と企業会計上合理的な処理方法との差異はますます広がってきています。 会社の決算は、本来商法に従って行われるべきものです。商法には「公正なる会計慣行」を斟酌すべしという規定があります。企業会計上合理的、あるいは企業経営上健全と考えられるような形で決算を行っていくのが望ましい姿ではないかと思います。税法上損金算入が認められない項目については、申告書上で調整を行えば問題は生じません。
3.2. 健全性という考え方
金融商品会計、退職給付会計、税効果会計、研究開発費やソフトウェアに関する会計などなどの新しい会計制度は、グローバルな会計基準に収斂していく方向に沿い、我国の企業の財務諸表を欧米企業と比較可能にする、ということに主眼がおかれています。 ちょっと視点を変えてみれば、このような基準を採り入れることは、国際的なスタンダードのもとに企業として望ましい姿の財政状態や経営成績を把握(開示)することになります。会計の視点から望ましい決算を行うということは、ある面で企業の健全性を確保することにもなるのではないかと思います。
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4.経営戦略のための会計へ
会計は決算書を作成するだけのものではありません。会計の知識を応用し、一歩進めて意思決定や管理に有用な計数資料を提供することができます。
4.1キャッシュフロー計算書
商法(あるいは税法)上は作成が義務付けられていませんが、資金の側面から企業の経営活動を測定します。損益からだけでは測ることができない財務的な側面を見ることにより、経営の効率化、健全化に向けた有用な資料を提供することができます。
4.2.自由な分析
会社の決算を目的とする会計は、法律や規則の枠のなかで行われるものです。しかし、会社の内部で利用するのであれば、会計はもっと自由であることができます。
 ・設備投資を行ったら
 ・追加借入を行ったら
 ・借入金の返済をしたら
 ・営業譲渡したら
 ・ある事業分野から撤退したら
 ・資産を時価評価したら
等々、自由に仮定を設けてシミュレーションや分析を行うことが可能です。
必ずしも法規や制度にとらわれない「管理会計」は、積極的にとりいれ、意思決定に役立てられて良いのではないかと思います。

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